女性被験者には、3種類(未使用のTシャツ、自分の恋人が着用したTシャツ、または見ず知らずの男性かが着用したTシャツ)のうち1枚を無作為に割り当てられ、その匂いを嗅いでもらうテストを実施しました。
女性被験者はストレス負荷試験(模擬面接、数学など)を受け、匂いを嗅ぐ前後でストレスチェックテストとストレスホルモンのコルチゾール値の唾液検体を提出してもらいました。
なぜこの研究で、女性が「匂いを嗅ぐ」方なのかというと、それは男性よりも女性の方が嗅覚が鋭い傾向にあるからなのだそうです。
研究の結果、恋人のシャツを嗅いだ女性にはストレスの軽減がみられました。また、恋人の匂いか否かを正確に識別できた女性も、やはりコルチゾール値が低いという結果でした。これは匂いを識別した上で、“愛しい人の匂いを嗅ぐ”ことがストレスの軽減効果が一番高かったという結果でした。
しかし、見ず知らずの男性の匂いを嗅いだときは真逆の効果を示しました。高い数値のコルチゾールが測定されたのです。
この結果を受けて、研究チームは、進化的要因が影響しているのではないかとの見解を示しています。本能的に私たちは幼少期から知らない人、特に女性の場合は知らない男性に対して警戒心を抱きます。ですので、見ず知らずの男性の匂いを嗅ぐと無意識に「闘争・逃走反応(fight-flight)」というストレス反応が起こります。それが引き金となり、コルチゾール値が上昇するということです。
もしかしたら日本の女性にはあまり馴染みがない行為かもしれませんが、欧米の女性は夫や恋人と一緒にいられないとき、彼のシャツを着たり、彼側のベッドで寝たりする人が多くいるのです。なぜそんなこを?と問われても明確に答えることはできませんでした。しかし、この研究結果より、その行動の真意が明らかになりました。夫や恋人と会えない状況であっても、その人の匂いだけでストレスを緩和することができるのですから!
もし、あなたが旅行に出かける時やしばらく会えない時などは、ファッション誌を持ち運ぶように、彼の香りのついたシャツを一枚バッグにそっと忍ばせてみてみると、ストレスを感じたり、何だか落ち着かないときに効果を発揮してくれるかもしれませんよ。
Lots of Love, Erica
出典1: Hofer, M. K., Collins, H. K., Whillans, A. V., & Chen, F. S. (2018). Olfactory cues from romantic partners and strangers influence women’s responses to stress. Journal of Personality and Social Psychology, 114(1), 1-9.
Comments are closed.