「ドーパミン断食」(Dopamine Fasting)という言葉を聞いたことがありますか?様々なテクノロジーやソーシャルメディアサービス(以下SNS)など、中毒性のあるものから一定時間距離を置いて脳をリセットすることで、脳がより効率的に機能するようになり、充電でき、ストレスが軽減されるという考え方です。そして何と言っても膨大な時間を獲得できるという利点があります!新型コロナウイルス感染防止のためにほとんど家に籠り、いつも以上にスマートフォンを眺めている時間が増えたという人も多いと思いますが、そんな今こそ休憩して心身共に充電することが必要だと感じています。
”Dopamine Fasting”は、サンフランシスコの心理学者Cameron Sepah博士によって名付けられました。SNSは素晴らしいツールですが、同時に非常に強い中毒性があります。ハーバード大学など多くの研究では、SNSを見ている時と、違法薬物を摂取している時やギャンブルをしている時、砂糖を摂取している時を比較すると、脳の同じ場所が反応を示すことが判っています。やりがいのある何かを成し遂げたり、中毒性のある物質を摂取すると、脳のドーパミン生産領域の神経細胞が活性化され、ドーパミンのレベルが上昇します。したがって脳は「報酬」を受け取り、違法薬物やその活動を正の強化(Positive reinforcement)として関連付けます。例えばSNSの投稿で「いいね」「シェア」「コメント」「リツイート」などの通知を受け取ると、脳はドーパミンの分泌ラッシュ状態となり、喜びの感情がもたらされ、ずっとそれをやり続けたいという気持ちになります。
SNSのもう一つの問題は、人々は自分のことを話している時に脳の報酬中枢が最も活性化するということです。実生活で人々が自分のことを話すのは、話している時間全体の30〜40%だそうです。しかしSNSは自分の人生がいかに素晴らしいかを披露する場なので、その内容の80%が自分についてのことだと言われています。
このようにSNSによって分泌される刺激的なドーパミンは、実生活でリアルに人々と触れ合う時に脳内で分泌される化学物質とは大きく異なります。例えば友人とコーヒーを飲みながらおしゃべりしている時は、リアルタイムで感情や体験を共有し、「愛のホルモン」「絆のホルモン」と呼ばれるオキシトシンや、セロトニンが分泌されますが、これらの影響はドーパミンよりも穏やかで、心を落ち着かせてくれます。
SNSは人々が夢中になるよう、テクノロジーの企業に雇われた行動科学者や心理学者によって最適化されています。ですからいとも簡単にSNS中毒になり、他のことへの集中力が低下したり、情報過多で余計なストレスを抱えたりしてしまいます。もちろんSNSは友人や家族とコミュニケーションできる素晴らしいツールでたくさん良い面もありますが、SNSをしているとあっと言う間に時間が経ってしまいます。 例えば”Moment”などのアプリをダウンロードすれば毎日オンラインで費やした時間を記録することもできますので、ぜひ試してみてください。 恐らく衝撃的な結果になると思いますが、1日の過ごし方を変えるきっかけになるかもしれません。
「ドーパミン断食」には色々なやり方がありますが、最も簡単な方法の一つは、週に1日、SNSを断つ日を作ることです。まず、スマホの「通知」をオフにします。スマホが通知音を発するとその刺激でドーパミンが分泌されるので、オフにして脳がリラックスできる状態にしましょう。また、「ドーパミン断食」以外の日も、朝起きてから30分はスマホに触れないようにしましょう。SNSやニュース、メールをチェックすると、朝からストレスホルモンのレベルが急上昇し、その後一日の気分に悪い影響を与えてしまいます。
タイマーやリマインダーを設定して、SNSに費やす時間をコントロールするのもおすすめです。チラッと見てみようと思っただけなのに、1時間後もスクロールし続けているということはよくあることです。お恥ずかしながら、私もよくその過ちを犯しています。画面をスクロールする時は、なんとなくではなく目的意識を持ち、フォローするなら良い刺激でやる気を出させてくれる人、何かを学び取ることができる専門家、気持ちを高めてくれる人だけにしましょう。たったそれだけのことでも、運動や食事、健康的な料理、読書、掃除をする時間がないと感じている人にとって、貴重な時間を獲得できるのです。
「ドーパミン断食」はあなたの心を整理整頓するための素晴らしい方法です。ぜひ定期的に試してみてください!
Lots of love, Erica
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