おおよそ1日の3分の1を占める睡眠。人生を90年とすると、30年分を寝て過ごしていることになります。30年も眠っていると考えると、時間を無駄にしているように感じる方もいるかもしれません。ですが、人生において睡眠に当てる時間は決して無駄ではないのです。
睡眠には、身体の成長を促したり、肌を若々しく健康に保ったり、ホルモンバランスを整えたり、また減量効果、糖尿病・心臓病・ガンなどの生活習慣病の罹患リスクの軽減など、その恩恵は数え切れません。(睡眠に関する以前の投稿もご参照ください。https://goo.gl/FuaiQM / https://goo.gl/ngYR3d)そして、今回はもう一つの睡眠の恩恵であるネガティブ思考を止める効果について紹介しましょう。
研究(出典1)により、睡眠不足や夜更かしが起因となり、ネガティブ思考の堂々巡りを引き起こすことが判っています。就寝時刻が規則正しく十分な睡眠をとっている人に比べ、睡眠時間が少なく就寝時刻が遅い人は、より頻繁にネガティブ思考に陥る傾向にあるようです。
ネガティブ思考の堂々巡りとは、厄介で悲観的な考えが頭の中で繰り返されることを指します。将来に対して過剰な不安を抱いたり、過去の出来事をいつまでもひきずったりといった思考は一度陥ると抜け出すのは容易ではありません。
前出の研究は、米国のビンガムトン大学で100人の若い成人男女を対象に行われたものです。今までに明らかにされている睡眠不足とネガティブ思考の関係性からさらに踏み込んで、就寝時刻とネガティブ思考の関係性について研究調査を実施しました。
その結果、睡眠時間が短い被験者がネガティブ思考になりやすいということに加え、たとえ同じ長さの睡眠をとったとしても、就寝時刻が遅い被験者の方が昼夜関係なくネガティブ思考の堂々巡りに陥りやすいことが判りました。
また、自分が夜型であると認識を持つ学生達も同様の傾向がみられました。
「ストレス」や「心配」というのは誰もが折々持つ感情ですが、それが常習的になると私たちの睡眠に悪影響を及ぼし、さらには状態を悪化させる「ネガティブスパイラル」(ネガティブ思考の悪循環)に陥ります。
もし、あなたが心配性であったり、不安を抱えていたり、ネガティブスパイラルからどうにも抜け出せなかったりするときには、いつもより早めに就床し上質な睡眠をとることを優先しましょう。全ての電子機器を就寝の最低1時間前には切るようにします。なぜなら、パソコンやスマートフォンなどから出るブルーライトは上質な睡眠に必要不可欠なホルモン「メラトニン」の放出を妨げるからです。就床前の時間は、お風呂でお湯にゆったり浸かったり、ストレッチやヨガをしたり、本や雑誌を読むことをおすすめします。
早めの就寝や上質な睡眠は心を落ち着かせ、不安な気持ちを軽減し、あなたをよりハッピーな気分にしてくれるでしょう。私たちの眠りは平均90分を1周期としており、5周期分の睡眠を目標にすると良いでしょう。すなわち、1日7時間半の睡眠が理想的な睡眠時間ということです。眠りの浅くなるタイミングを就床時間に合わせることが重要です。例えば、もしあなたが朝7時に起きる必要がある場合、夜11時半に就寝するとよいでしょう。上質な睡眠は自分で作ることができる抗不安薬であり、そして同時に最上の美容法であるのです。
Lots of Love, Erica
(出典1): Nota, J. A. et al., “Duration and Timing of Sleep are Associated with Repetitive Negative Thinking,” Cognitive Therapy and Research, 2014; DOI: 10.1007/s10608-014-9651-7
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