異性化糖(ブドウ糖果糖液糖、果糖ブドウ糖液糖、高果糖液糖、ハイフルクトースコーンシロップ)と呼ばれる果糖の摂りすぎは、健康と美容に悪影響を及ぼすということは周知のとおりですね。(ここで言う「果糖」は果物に含まれる「果糖」とは別物です。果物をそのまま食物繊維と一緒に摂取する分には問題はありません。)それに輪をかけて、果糖の過剰摂取は、記憶機能に関連を持つ940もの脳内遺伝子に損傷を与えるということが、今年5月に発表された研究(出典1)によって明らかになったのです。
この研究は、米国UCLAのニュートリゲノミクス研究チームにより行なわれたものです。ニュートリゲノミクスとは、遺伝子発現を解析し、摂取した食品の影響を研究する手法です。
結果として、果糖の過剰摂取が、代謝機能を主にコントロールしている視床下部の700以上の遺伝子と学習と記憶機能を司る海馬の206の遺伝子に損傷を与えるということが明らかになりました。この脳内遺伝子が損傷されると、パーキンソン病・うつ病・双極性障害・アルツハイマー病などの脳疾患の発症リスクが極めて高くなるということです。
また、この研究により、果糖がいかにして脳内遺伝子を損傷するに至らせるのか、そのメカニズムも解明されました。果糖の過剰摂取によって、DNAを作るヌクレオチドの1つが変異を起こし、遺伝子の働きを改変させてしまうのだそうです。
別の研究(出典2)によれば、果糖の過剰摂取により脳内の有害分子が増加し、細胞間のコミュニケーションを阻害することが判っています。この有害分子は脳内に蓄積され続け、学習と記憶能力の低下を引き起こすのです。
また、この研究より、ドコサヘキサエン酸(DHA)には、果糖が脳の遺伝子に与える影響を抑える効果があるということが判りました。DHAは魚・魚油のサプリメント・くるみ・フラックスシード・果物・野菜・卵・バターオイルの一種である「ギー」などに含まれています。ですが、DHAを摂取しているからといって異性化糖を食べ続けてもいいという訳ではありません。なぜなら、摂取している異性化糖の量を毎食時測るのは難しく、それに対するDHAの必須量も分からないからです。よって、果糖ブドウ糖液糖などの異性化糖をあなたの食生活から極力避け、バランスのとれた食事を毎日心がけることを強くおすすめします。
では、この問題の果糖はどのような食べ物に使用されているのでしょうか?
炭酸飲料水やスポーツドリンクなどの清涼飲料・一見健康に良さそうなヨーグルト・サラダドレッシング・スイーツデザート・菓子パン類・スパゲティーソースなどに含まれています。原材料欄には「ブドウ糖果糖液糖」、「果糖ブドウ糖液糖」「グルコース・フルクトースシロップ」、「ハイフルクトースコーンシロップ」または「異性化糖」と表示されています。はちみつにも入っていることがあるので、購入前には原材料欄を注意して見るようにしましょう。
名称が同じなので非常に紛らわしいのですが、この異性化糖に含まれている果糖は、果物に含まれる果糖とは別物ですので、混同しないでください。果物には、食物繊維が豊富に含まれていて、体内で糖の吸収速度を緩めてくれます。またフィトケミカル・抗酸化物質・ビタミン・ミネラルなど、私たちの脳と身体を守ってくれる要素が豊富に含まれているからです。
覚えていて欲しいのは、食べ物はただのエネルギーやカロリーなのではなく、遺伝子にまで影響を及ぼし、健康を大きく左右するものなのです。だからこそ、必ず食品の原材料欄を読むようにしましょう。先にも述べましたが、「ブドウ糖果糖液糖」、「果糖ブドウ糖液糖」「グルコース・フルクトースシロップ」、「ハイフルクトースコーンシロップ」または「異性化糖」などと表示され、果糖は様々な食べ物に潜んでいます。健康食品として販売されている商品にさえ使用されている場合があるので、注意してください。あなたの脳と身体が喜ぶ食べ物を選び、さらに健康的に美しく輝きましょう。
Lots of Love, Erica
(出典1):Meng, Q., Ying, Z., Noble, E., Zhao, Y., Agrawal, R., Mikhail, A., . . . Yang, X. (2016). Systems Nutrigenomics reveals brain gene networks linking metabolic and brain disorders. EBioMedicine, 7: 157-166, http://dx.doi.org/10.1016/j.ebiom.2016.04.008
(出典2):Agrawal, R. & Gomez-Pinilla, F. (2012). ‘Metabolic syndrome’ in the brain: deficiency in omega-3 fatty acid exacerbates dysfunctions in insulin receptor signaling and cognition. J Physiol, 590: 2485-2499, http://dx.doi.org/10.1113/jphysiol.2012.230078
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