トランス脂肪については、こちらのFacebookページでも幾度となく記事をアップしてきましたので、この人工的に作られたトランス脂肪酸が、いかに私たちの健康、美容、そしてホルモンや精神状態にまでネガティブな影響を与えうるかについては、既によくご存知のことと思います。本日は、日本で行われた最新の研究(出典1)によって明らかになった、さらなるその反作用についてお話ししたいと思います。トランス脂肪酸の摂取によって、アルツハイマー病の発症リスクがなんと最大約75%も増加するということが判明したのです。
この研究では、認知症ではない平均年齢70歳の日本人男女1,600人を対象に行われ、10年間に渡る追跡調査を行いました。まず最初に血液検査を行い、各被験者の血中のトランス脂肪酸値の測定と食生活の分析しました。血中のトランス脂肪酸値は、「エライジン酸」と呼ばれるもの濃度で測定します。これは、人工トランス脂肪酸のバイオマーカーです。(ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、実はトランス脂肪酸は人工的なものだけではなく、ある種の肉や乳製品でも少量ですが自然に発生するものも存在しています)
厚生労働省の調査によると、2012年時462万人だったアルツハイマー病患者数は、2025年には約700万人以上になると推測されており、増加の一途を辿っています。その原因として高血圧や糖尿病を患っていたり、または喫煙者であったりといった要因もあります。しかしそれらの認知症発症の要因を加味した上でも、エライジン酸濃度の高い=血中のトランス脂肪酸値高い人は、そうではない人に比べると52%から75%も認知症またはアルツハイマー病の発症リスクが高いことが、この研究で明らかになりました。
では、血中のトランス脂肪酸値を上昇させるのは、どのような食品なのでしょうか?これはとても重要なポイントですので、ぜひメモのご用意を!トランス脂肪酸値上昇にもっとも貢献してしまう第1位は、甘くて美味しいデニッシュペストリーです。その次にマーガリン、そしてキャンディー、キャラメル、クロワッサン、非乳製品クリーム、アイスクリーム、そして揚げ煎餅が続きます。
健康へ悪影響が立証されているトランス脂肪酸は、WHO(世界保健機関)は、2023年までに世界からの根絶を求めており、それを受けて多くの国がトランス脂肪酸使用の禁止や規制をかけています。しかし残念ながら、日本にはまだ表示さえ義務づけする法律ありません。ですので、トランス脂肪酸を避けるためには、ご自分が“食材探偵”となり、原材料を細かくチェックする必要があります。食品表示ラベルに、マーガリン、ショートニング、加工植物油脂、植物油脂が含まれるものは極力避けて欲しいと思います。
またこれらのトランス脂肪酸を多く含む原材料は、まさかそんなものにも使われているなんて!というような意外な食品、例えば、太巻き、サラダドレッシング、ポップコーン、冷凍ピザ、ピーナッツバター、さらにはヘルシースナックとカテゴライズされているもの等にも使用されていることがあるので要注意です。
なぜこれほどまで多用されているのでしょうか?それは、 トランス脂肪酸は防腐剤として食品の保存期間を延ばす効果があるだけなく、美味しさ、中毒性のある旨味、そしてクリーミーな食感をプラスし、一度口にするともっともっと欲しくなる後引く味に仕上る、食品メーカーにとっては最高の食材だからです。
食生活を完璧にすることはとても難しいことは十二分に承知しています。ですが、このトランス脂肪酸(できることならば、併せてスクラロースやアスパルテームなどの人工甘味料も)だけは避けて欲しいと思います。あなたの健康、美容、そして脳のために!
Lots of Love, Erica
出典1:Honda T, Ohara T, Shinohara M, Hata J, Toh R, Yoshida D, Shibata M, Ishida T, Hirakawa Y, Irino Y, Sakata S, Uchida K, Kitazono T, Kanba S, Hirata KI, Ninomiya T (October 2019) Neurology. DOI: https://doi.org/10.1212/WNL.0000000000008464
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