Contact

    取材・講演のお問い合わせは、上のフォームからご連絡ください。

    メールでのお問い合わせは、info@erica-angyal.com までお送りください。

    大変申し訳ございませんが、健康問題などにつきましての個人さまからのお問い合わせやご相談にはお答えすることができませんのでご了承ください。

    * すべての項目にご記入をお願いいたします

    たんぱく質、何から摂るかで寿命が変わる!?摂取するなら植物性たんぱく質を積極的に!

    たんぱく質、何から摂るかで寿命が変わる!?摂取するなら植物性たんぱく質を積極的に!

    今流行っているダイエットといえば、低炭水化物ダイエットやパレオダイエット(野草と野生動物を中心とした食事法:旧石器時代食または原始人食とも呼ばれている)のような高たんぱく質の食事法があげられます。みなさんの中にも実践されている方がいるかもしれません。

    しかし、今年8月に米ハーバード大から発表された研究(出典1)によって、動物性たんぱく質の赤身肉(牛・豚など)や、特にソーセージ・ハム・ベーコン・ホットドック・サラミなどの加工された肉の高摂取は、死亡リスクを高めることが明らかになったのです。逆に植物性たんぱく質(大豆類・キヌア・豆類・ナッツ類など)は死亡リスクを低下させる効果があることが判りました。この研究は13万人以上もの男女を対象に、たんぱく質摂取量、それが動物性のものか植物性のものかによる違いによって発症した病気と死亡率にも着目し、最長36年間の追跡調査を行ったものです。

    動物性たんぱく質を摂取していた被験者は、特に心臓病による死亡リスクが8%高く、植物性たんぱく質を摂取していた被験者のそれは10%低いということが判明したのです。また、植物性たんぱく質の摂取によるその効果は、とりわけ不健康な生活習慣、喫煙・アルコール過剰摂取・肥満・運動不足のいずれかに該当する被験者に顕著に見られたそうです。

    また、赤身肉・加工肉の摂取をほんの少量でも植物性たんぱく質に代えるだけで、早期死亡リスクを34%も下げられるという結果も出ています。

    具体例を挙げると、男性は19g程の動物性たんぱく質(ソーセージ1本、または、ベーコン数枚に相当)をナッツ類・野菜・全粒穀物の植物性たんぱく質に代えるだけで、早期死亡リスクは大幅に下がるということです。女性の場合はその分量は15g程で良いようです。

    鶏肉と魚の摂取については、早期死亡リスクとの関連はないとされています。

    元来日本食は魚や野菜が中心だったので、赤身肉やベーコン・ソーセージ・ハムなどの加工肉等の消費は極少量でした。日本人の生活習慣病発症リスクが欧米と比べて低かったのは、日本食が理由の一つであったと考えられています。しかし、近年日本人の肉の消費量は上昇し続けており、現在の平均摂取量は既に魚より肉の方が多くなっているのです。

    研究者たちはずいぶん以前より、赤身の加工肉の摂取とがん・糖尿病・心臓病など広範囲の慢性疾患等の発症リスクとの関連性に警鐘を鳴らしてきていました。そして昨年の10月にWHO(世界保健機関)は、加工肉をアスベスト・ヒ素・タバコと同レベルの発がん性物質であると発表しました。また国際がん研究機関(IARC)は、加工肉を毎日50g摂取すると大腸がんの発症リスクが18%上昇すると言明しました。

    WHOにおいては、加工肉だけではなく、赤身肉(牛・豚・ラム)も「発がん性の可能性がある食品グループ」として分類し、膵臓がん・前立腺がんに関連があるとしています。

    では、なぜ動物性たんぱく質は死亡リスクを上昇させてしまうのでしょうか?

    穀物肥料で育てられた赤身肉は、私たちの健康に望ましくない飽和脂肪酸と炎症反応を促進するオメガ6を豊富に含みます。よって、その赤身の肉の高摂取は、インスリン様成長因子(インスリンと構造が似ているペプチドホルモン)の高濃度と関連しており、これが健康転帰の悪化とがんを促進させるといわれています。

    また肉を高温で調理すると複素環アミンのような発がん性化合物を形成する上に、赤身の加工肉はナトリウム・亜硝酸塩・硝酸塩が高く、これらも健康転帰を悪化させてしまうそうです。

    一方で、植物性たんぱく質の高摂取は、血圧・血中脂質濃度(トリグリセド・コレステロール)の低下とインスリン感受性を改善する効果があります。大豆・豆類・ナッツ類・全粒穀物には、フィトケミカル、抗酸化物質、食物繊維、ビタミン・ミネラルなどその他多くの身体に良い栄養分が豊富に含まれています。

    前出以外の研究(出典2)でも、やはり同様の結果が出ています。赤身肉をもっとも多く摂取した被験者は若くして亡くなる傾向にあり、その死因の多くは心臓病やがんであるということがわかっています。またそれらの被験者は運動不足気味で肥満傾向にあり、比較的大量のタバコやアルコールを愛飲していた、ということです。不健康な生活習慣の影響はあるとはいえ、赤身肉の摂取と死亡率の関連性は明確なものであるとの結論でした。

    健康で元気に長生きをするためには、赤身肉の摂取は控えめに、加工肉はなるべく避けるようにした方が賢明のようです。赤身肉を食べる場合は、オーガニックの牧草で育てられた肉または野生肉をお勧めします。まだ日本では取り扱いが少ない為購入が難しい場合もありますが、アメリカをはじめ先進欧米諸国では既に広く市場に出回っています。

    たんぱく質は私たちの健康に欠かせない栄養素の1つですが、なるべく動物性ではなく植物性の食品から摂るようにしましょう。豆腐ハンバーク・豆腐ステーキやキヌアサラダを作ったり、豆たっぷりの根菜を煮たり、納豆にアボカド(サーモンのお刺身を入れても美味しいですよ)を合わせたりして、日々の食事に植物性たんぱく質や魚を楽しみながら取り入れてみてください。今何を選んで何を食べるかは、あなたの将来の健康に大きな影響を与えるのです。元気でハッピーな人生を長く送るためにも、より多くの植物性たんぱく質を食べましょう!

    Lots of Love, Erica

    (出典1) :Song, M., Fung, T. T., Hu, F. B., Willett, W. C., Longo, V. D., Chan, A. T., & Giovannucci, E. L. (2016). Association of animal and plant protein Intake with all-cause and cause-specific mortality.

    JAMA inter med. http://dx.doi.org/10.1001/jamainternmed.2016.4182

    (出典2): Pan, A., Sun, Q., Bernstein, A. M., Schulze, M. B., Manson, J. E., Stampfer, M. J., & Hu, F. B. (2012). Red meat consumption and mortality: results from 2 prospective cohort studies. Arch intern med, 172(7):555-63. http://dx.doi.org/10.1001/archinternmed.2011.2287

    Comments are closed.