8月6日のFacebook投稿でお話した通り、白いパンに代表される精製された炭水化物やスナック菓子、クッキー、ケーキ、白砂糖、その他加工食品などを大量に摂取することに起因する高血糖状態は脳に大きな影響を及ぼします。
一方で、今年7月に発表された研究結果(出典1)によると、和食の基礎食材でもあり、その美味しさの鍵である「魚」が私たちの脳の一部を増大させ、脳そのものを強くさせるという事が判りました。この研究結果によると、魚を週に1回だけでも食べる習慣がある人の海馬は、魚をそれほど頻繁に食べない人に比べ、約14%も大きかったのです。海馬は、脳の記憶と学習能力を司る部分です。より大きい海馬を持つということは、アルツハイマー型認知症のリスクが低くなるとも言えます。また、魚を食べる事で海馬だけが大きくなるのではなく、前頭皮質という実行機能や判断能力に関係する脳の一部も大きくなる事が判りました。
また、魚に含まれる素晴らしい栄養素であるオメガ3脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)は生命維持に必要な器官である脳の扁桃体や前帯状皮質といった部分を大きくすることも分かりました。また、DHAやEPAは私たちが幸福感を感じるために不可欠な神経細胞の伝達を助ける事にも役立っています。つまり、オメガ3脂肪酸は私たちをよりハッピーで前向きな気分になるのを助ける、まさに自然のサプリメントのようなものなのです。
ここで最も重要なことは「調理法」です。揚げるとオメガ3脂肪酸、DHAおよびEPAはほぼ破壊されてしまいます。魚を食べる際は、生で食べるか蒸す、または焼いて食べるということを心がけましょう。
また、別の研究(出典2)では、オメガ3脂肪酸の血中濃度が高い人はうつ病や自殺のリスクが低い傾向にあるという結果も出ています。逆に、オメガ3脂肪酸の血中濃度が低い人は、うつ病や衝動制御障害、攻撃性とも何らかの関連があるとされています。(出典3)
日本はかつて世界でも有数のオメガ3脂肪酸の摂取国でしたが、残念なことにここ数十年で着実に魚の消費量が減っています。実際に、2012年の日本人の魚介類の摂取量は1989年時に比べ約24%も減少しているのです。(出典4)日本は魚介類の資源に恵まれています。世界中のどこを探してもこれほどまでに多種多様な魚が採れる国はありません。
魚を食べることで肌の弾力性を高めるといった美容面の利点もありますが、より強く健康な脳を育成するため、そしてアルツハイマー型認知症や認知症、加齢による脳機能の衰えへの対策として、そして幸福感をきちんと感じるためにも魚をもっとたくさん食べましょう。頻繁に魚を食べる事は、人生において幸せで健康的な脳を保つ究極の手段なのです。
Lots of Love, Erica
(出典1) Raji, C., et al., “Regular Fish Consumption and Age-Related Brain Gray Matter Loss,” American Journal of Preventive Medicine”, July 2014, DOI:http://dx.doi.org/10.1016/j.amepre.2014.05.037
(出典2) Sublette, M. E., et al., “Omega-3 polyunsaturated essential fatty acid status as a predictor of future suicide risk,” Am J Psychiatry, June 2006, vol. 163, no. 6, 1100-2.
(出典3) Conklin, S. M. et al., “Serum omega-3 fatty acids are associated with variation in mood, personality and behavior in hypercholesterolemic community volunteers,” Psychiatry Res, 2007, vol. 152, no. 1, pp: 1 – 10.
(出典4) 平成25年度 農林水産省 水産白書内「水産物の消費・需給をめぐる動き」http://www.jfa.maff.go.jp/e/annual_report/2013/pdf/25suisan1-2-4.pdf
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