偏った食生活や睡眠不足、運動不足が太る原因となることは、よく知られています。ところが、全く新しい研究によると(出典1)、冷蔵庫の中の食べ物だけが体重に影響しているわけではないことが分かったのです。
なんと、冷蔵庫の上にある物……そうです。そこに溜まったホコリが、体重を左右するというのです。
家の中のホコリが体重増加の可能性を高めるという研究結果が、今年発表されました。
ではなぜ、ホコリが体重増加に関係するのでしょうか?
実は家庭内のホコリには、体内ホルモンに影響を及ぼす外因性内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)が微量に含まれており、それが体内に脂肪を蓄積させる可能性があるのです。
具体的には、どのような化学物質なのでしょうか?
環境ホルモン(EDCs)とは、主に体内のホルモンを妨害したり模倣したりする合成化合物のことです。
ソファやカーペットなどに使われる難燃剤、プラスチックの柔軟性を高めるために配合されるフタル酸エステル、そして、食品や水・哺乳瓶などの飲料パッケージに使われるビスフェノール-Aなどが挙げられ、これらは生殖機能、神経系、および免疫機能に影響を及ぼす可能性があると言われています。これらEDCsは最終的に室内のホコリとして、呼吸や経皮吸収により体内に侵入するのです。
これらの微細な粒子への暴露によって体重が増えたり、代謝に影響を及ぼすことが研究により示唆されています。
また、培養皿での実験では、これら化合物が細胞脂肪を刺激してトリグリセリド(肥満に関連する脂肪の一種)をより多く蓄積させる働きを持つことが発見されました。
というわけで、これらの化学物質が脂肪細胞を増やすことになると言えるのです!
研究では、多くの家屋からホコリを集めて、細胞にどのような相互作用を及ぼすかを観察しました。そして、サンプルとして採集されたほとんどのホコリがトリグリセリドを蓄積し、成熟脂肪細胞に変化しました。
さらにこの実験でテストされた、ほとんどの家庭に存在する44種類のハウスダストの中では、ピラクロストロビン(農薬)、難燃剤のTBPDP、一般的に使用されている可塑剤のDBPが、脂肪の生成効果がもっとも強いことが分かりました。
この結果から、家庭内のホコリに含まれる化学物質の混合物が、トリグリセリドと脂肪細胞の蓄積を促進することが示唆されます。
また、家庭内のホコリは子供にって特に危険であることが分かりました。
研究者を驚かせたのは、たった3マイクログラムという大変微量のホコリでも、子供に相当な影響をもたらすという結果でした。
米国環境保護庁の試算によると、アメリカの子供は、毎日50ミリグラムものホコリを、呼吸吸入、経口摂取、または経皮吸収しているそうです。
これまでに、製品へのEDCsの使用を減らしてきた製造業者もありますが、多くの消費財で依然として使用されています。
これらの化学物質を完全に除去することは不可能ですが、自宅でEDCsを減らす方法はたくさんあります。
ホコリを溜めないようにこまめに掃除をするのと同時に、以下の方法で、よりEDCsの摂取を減らすようにしてみてはいかがでしょうか?
・可能であれば、子供のおもちゃには柔軟性のあるプラスチックを使用しない。
・プラスチック製の飲料ボトルで飲むのをやめる。 代わりに、再使用可能なステンレス製またはガラス容器に入った飲料を購入する。
・食べ物はガラス容器に保存する。特に電子レンジを使用するときは、プラスチック容器の使用を避ける。
・可能であればオーガニック食材を選ぶ。特に、野菜や果物は、高レベルの農薬を含むものだけでもオーガニックを購入する。
(農薬についての過去の投稿はこちら:高価でもオーガニック食材は健康への投資!https://goo.gl/jCkLE6)
・天然由来の洗面用品、洗濯用洗剤、その他の家庭用品を使用する。テフロン加工の鍋やフライパンは、セラミックやステンレス、ガラス製の調理器具に交換する。
・エアーフレッシュナー、スプレー芳香剤、洗濯用柔軟剤は使用しない。一見快適なこれらの香りは、有害な化学物質であることが多く、室内の空気の質を悪くし、喘息などの呼吸障害を引き起こすことさえあるのです。
・天然で化学薬品を使用していない衣類、家具、床材、塗料、建材を探す。
ホコリとEDCsが健康に与える影響をおわかりいただけたでしょうか。
まずはあなたが無理なくできることから、はじめてみましょう。
Lots of Love, Erica
出典1: Kassotis, C.D. Hoffman, K., Stapleton, H.M. (2017) Characterization of Adipogenic Activity of House Dust Extracts and Semi-Volatile Indoor Contaminants in 3T3-L1 Cells. Environmental Science & Technology,
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