皆さんは、携帯電話のない生活が想像できますか?今となっては、ほとんどの人にとって携帯電話が必要不可欠なものとなっているのではないでしょうか。今回は、携帯電話の利用が健康へ及ぼす影響について考えてみましょう。
携帯電話が発する電磁波は、頭痛や疲労、ストレス、睡眠障害といった様々な症状との関連が指摘され、免疫系、体力や気力にさえも影響を与えます。それだけではなく、その携帯電話の定期使用が、健康に悪影響があるのではないかと懸念する研究者もいます。実際に、2011年に世界保健機関(WHO)の付属機関である国際がん研究機関(IARC)は、携帯電話から出る電磁波を「発がん性物質として分類できない」(グループ3)としていた見解を「発がん性があるかもしれない」(グループ2B)と改めました。
実際に、2013年7月に発表されたばかりの研究(出典1)によると、携帯電話を多く使用することとがんを引き起こす可能性に関連があることが分かりました。携帯電話は耳の近くの唾液腺に近い場所で使います。そのため、この研究では唾液からがん発症の関連性が分かると仮説を立て、携帯のヘビーユーザーと携帯を使用しないグループの調査をしました。その結果、ヘビーユーザーは耳の近くの組織や唾液腺だけでなく、唾液に含まれる酸化ストレス値が明らかに高いということが分かったのです。ヘビーユーザーの定義は1ヶ月に8時間以上(1日に換算すると17分以上)通話する人のことで、携帯を使用しないグループはメールやメッセージのみ(通話以外)使用する耳の不自由な方が対象でした。
活性酸素によるダメージの値が細胞や遺伝子の変異と関連付けられ、腫瘍の増殖との関連がある可能性もあり、がんの大きなリスク要因であると見られています。この研究によると、長く懸念されていた携帯使用の影響を反映する結果になったのです。
そこで、携帯の電磁波の影響を軽減する方法をいくつかご紹介します。ぜひお試しください。
1. 携帯端末は頭や耳に押しつけず、頭から少しでも離して話すようにしましょう。
2. 携帯電話を持ち歩く際は、バッグや携帯ケースに入れて、できるだけ身体と直接触れないようにしましょう。身体から離せば離すほど、電磁波の影響が少なくなります。ポケットに収納することもできれば避けてください。少なくとも、電磁波を外に向けるようにするため、液晶画面を身体に向け、携帯の背面を外側に向けましょう。ちなみに、別の研究(出典2)によると、股近くのポケットに携帯を入れている男性の精子の数は30%も少ないという結果が出たそうです。
3. スピーカー機能、Blue-tooth、イヤホンを活用しましょう。イヤホンを使用する際は、利き耳だけでなく両方の耳を使い、片耳だけが電磁波にさらし続けられないようにしましょう。また、長い会話の場合はコード付きの固定電話を使用するようにしましょう。
4. できるだけ通話時間を短くとどめましょう。たった2分間の会話であっても、その後1時間にわたって脳の活動に影響を与えることが分かっています。
5. 通話よりもメールやメッセージ機能を利用するようにしましょう。
6. 携帯電話は電波の良い場所のみで使用するようにしましょう。電波が弱い場所では受信状態を保つために携帯が強い電磁波を発するためです。
7. 寝る時に携帯電話の電源を入れたまま枕元や枕の下に置いたり、目覚まし代わりに使用することはやめましょう。昔ながらの目覚まし時計がおすすめです。詳しくは睡眠についての過去の投稿をご参照下さい。
8. 妊娠中の方は携帯電話をお腹から離すようにしましょう。
9. お子さんが携帯電話を使用する時間を減らし、緊急時のみ使用するようにしましょう。昨年の研究(出典3)によると、子供の脳は大人の脳に比べて携帯電話の放射線を約2倍吸収してしまうということです。子供の発育途中で薄い頭蓋骨の方がダメージを受けやすいのです。
携帯電話はとても便利な文明の利器です。使用してはいけないなんて言われたら、どんなに大変なことになるでしょう。(私も携帯電話なしの生活は想像できません!)ただし、より安全な使い方を心がけることはできます。通話は短く、携帯電話はできるだけ身体から離し、イヤホンやスピーカー機能を使うなど、賢く活用していきましょう!
Lots of Love, Erica
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(出典1) Hamzany, Y., et al., “ Is Human Saliva an Indicator of the Adverse Health Effects of Using Mobile Phones?” Antioxidants & Redox Signaling, 2013; 18 (6): 622 DOI: 10.1089/ars.2012.4751
(出典2) Fejes, I., et al, “Is there a relationship between cellphone use and semen quality”, Journal of Andrology, Sep-Oct 2005, vol. 51, no. 5, pp: 385-93.
(出典3) Morgan, L., et al., “Exposure Limits: The underestimation of absorbed cell phone radiation, especially in children”, Journal of Electromagnetic Biology and Medicine, March 2012, vol. 31. No. 1. Pp: 34-51.
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