食材を正しく保管することは保存期間を延ばすだけでなく、食材に含まれる栄養素を保つことにもつながります。野菜や果物は収穫直後から栄養素が失われ始めることは周知のことですが、実はオリーブオイルや緑茶などのみなさんが常備している食材についても同様のことをが言えるのです。今回は、常備している食材の上手な保管方法についてご紹介します。
<オリーブオイル>
ワインとは違い、オリーブオイルは時間が経過すればより熟成されて美味しくなるということはありません。出荷直後のものを購入し、できるだけ早い段階で使い切ることが望ましいのです。
オリーブオイル(特に低温圧搾のエキストラバージン・オリーブオイル)はポリフェノールなどのフィトケミカルを豊富に含み、強力な抗酸化作用があります。研究結果(出典1)によると、エキストラバージン・オリーブオイルは保存期間の最初の3ヶ月間は抗酸化作用に変化がないのですが、6ヶ月が過ぎると研究対象のほとんどのオイルにおいて、抗酸化成分が約40%も失われてしまったとのことです。
保管方法:
冷暗所に保管しましょう。オリーブオイルは酸素や熱に弱いため、ガスコンロの近くに置きっぱなしにすることは避け、蓋をしっかり閉めて保管しましょう。また、光にも弱いので、遮光性(暗い色)のボトルに入ったものを購入するようにしてください。そして、少量入りのボトルを購入して、短期間で使い切るようにしましょう。
<緑茶>
緑茶に含まれる強力な抗酸化物質で、美の味方であるカテキンは、酸素や光に非常に敏感です。研究結果によると(出典2)、カテキンは6ヶ月で約32%低下したとのことです。
保管方法:
緑茶は紅茶に比べて熱に弱いので、茶葉を新鮮に保つために密閉容器に入れ、冷蔵庫の中で保存しましょう。
<ドライハーブやスパイス>
ドライハーブやスパイスは多くの抗酸化物質やフィトケミカルの宝庫です。しかし、研究によると、その抗酸化成分は時間の経過とともに減少することが分かりました。ある研究(出典3)によると、チリパウダーに含まれる強力な抗酸化成分であるカプサイシンの抗酸化作用が保存期間(9ヶ月)中に徐々に失われていくことが分かりました。スパイスは毎年入れ替えるようにし、香りや風味が失われたものは早めに処分するようにしましょう。
保管方法:
スパイスはガラスの容器に入った物(プラスチックの容器は空気を通してしまうため)を購入するようにしましょう。スパイスは光や湿度、熱に弱いため、冷暗所に保管しましょう。
<ハチミツ>
米国イリノイ大学の研究者ら(出典4)によると、クローバーやそばハチミツの抗酸化作用は6ヶ月で30~50%減少したとのことです。
保管方法:
冷暗所に保管しましょう。数週間から数ヶ月で結晶化してしまうので、しっかり密閉し、結晶化を防ぎたい場合には冷蔵庫で保存するようにしましょう。(ちなみに、スーパーで販売されている多くのハチミツは砂糖やブドウ糖果糖液糖を含む“偽”ハチミツなので、できれば100%のハチミツで、そばハチミツなど、色の濃いものを購入するようにしましょう。)
そして、抗酸化物質は非常に壊れやすいことを覚えておきましょう。植物性の食品は新鮮なほど栄養素を多く含み、抗酸化作用が高いのです。大容量の方が安くても、時間の経過によって栄養素が失われてしまっては意味がありません。食べ物の栄養素を最大限得るためには、短期間で消費できるだけの量を買うようにしましょう。
Lots of Love, Erica
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(出典1) Baiano, A., et al., “Changes in Phenolic Content and Antioxidant Activity of Italian Extra-Virgin Olive Oils during Storage,” Journal of Food Science, March 2009, vol. 74, no. 2, pp: 177-183. doi: 10.1111/j.1750-3841.2009.01072.x.
(出典2) Kozukue, N., et al, “Stability of green tea catechins in commercial tea leaves during storage of 6 months,” Journal of Food Science, 2009. Vol. 74, pp: 47-51.
(出典3) Ruff, Veronica, Prevention Magazine, US, November 2012, pp. 44 -46.
(出典4) Brierley Wright, Eating Well, October 19th, 2009.
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