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    コロナ重症化と後遺症を防ぐ鍵は発酵食品にあり(Part 1)

    コロナ重症化と後遺症を防ぐ鍵は発酵食品にあり(Part 1)

    皆さんの食卓に、お味噌汁は週にどのくらいの頻度で並んでいますか?納豆やお漬物はどうでしょうか?

    伝統的な日本食が、健康と美容に無限のメリットがあることはご周知の通りですが、その特色のひとつとしてあげられるのが、発酵食品の種類の多さです。
    発酵食品は、健康や美容だけではなく、免疫システムの向上にも非常に大きな効果があることがわかっています。

    まず発酵食品は、健康な腸と健康な腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)を作ります。

    私たちの腸は最大の免疫器官で、腸内に存在する常在微生物が免疫反応に影響を与えます。実際、私たちの免疫細胞のおよそ70%は、腸内フローラとその細胞壁に集まっているのです。

    新型コロナウイルスは主に高齢者が重症化しやすいことがわかっていますが、日本の新型コロナウイルスによる死亡率が、他の先進国に比べ、約40分の1と際立って低いのは何故でしょうか?

    諸外国の高齢者と日本の高齢者の違いとして挙げられるひとつに、日本の高齢者の多くが発酵食品を含む伝統的な日本の食事を今でも毎日摂っていることではないでしょうか。

    最新の研究(出典1)によれば、マイクロバイオーム(腸内細菌叢)として知られる腸内細菌の種類と量は、新型コロナウイルスの重症度を左右し、感染に対する免疫反応に影響及ぼすというのです。

    この研究では、便のサンプルと血液の両方を調べました。

    便サンプルの分析では、抗生物質を含む薬物で治療されたかどうかに関係なく、腸内細菌叢の組成が、新型コロナウイルスに感染した被験者と感染していない被験者で、大きく異なっていることが明らかになったのです。

    新型コロナウイルスに感染した被験者は、感染していない被験者と比較すると、免疫システムに有害な影響を与えるとされる腸内細菌の数が多く、逆に、良い影響を与えるとされる腸内細菌の数が相当少ないことがわかりました。特に、フィーカリバクテリウム・プラウス二ッツィイとビフィドバクテリウムビフィダムの量が少ない事が、感染後の重症度との関連性があることが認められました。

    また、その他の深刻な疾患を持つ患者の腸内細菌叢の組成を見ても、バランスが崩れていることもわかっています。

    新型コロナウイルスに感染すると、免疫システムが反応し、炎症性サイトカインを産生します。この反応が過剰になると「サイトカインストーム」が起こります。これにより広範囲の組織にダメージを及ぼし、さらには臓器を傷つけ、最終的には臓器不全を引き起こす可能性もあります。

    血液分析でも、有益な腸内細菌が減少すると、血中の炎症性タンパク質(サイトカイン)が増加することが明らかになっています。

    この腸内の「不均衡」が、時間の経過とともにどのように変化し、いつまで続くのかを明らかにするため、新型コロナウイルス患者の回復後、最大30日間追跡調査したところ、被験者の有益な腸内細菌が少ないままであることが判明したのです。

    この結果によって、腸内細菌叢は、新型コロナウイルス感染の鍵となる免疫システムに影響を与え、そして罹患後の重症度も左右することがわかりました。

    腸内細菌叢の種類(出典2)は加齢と共に減少することがわかっていますが、新型コロナウイルスは高齢者が重症に陥りやすいことが明らかになっています。このことからも新型コロナウイルスの感染と腸内細菌叢の関係性が浮かび上がります。

    また、別の研究(出典3)は、ヨーロッパ諸国でザワークラウト、漬物、サワーミルク、発酵乳などの乳酸菌が豊富な発酵食品の摂取量が多いことと、新型コロナウイルスによる死亡率が低いことの間に関連性があること発表しています。また、発酵食品の国民平均摂取量を1グラム/日増やすと、新型コロナウイルスによる死亡率が35%減少するとも報告しています。

    新型コロナウイルスのパンデミックによって引き起こされた深刻な問題のひとつは、死亡率の変動が大きいことです。ベルギー、フランス、イタリア、スペイン、英国などの国の死亡率が非常に高いのに対し、中央ヨーロッパ諸国、バルカン半島、および一部の北欧諸国の死亡率は非常に低くなっています。

    他の研究(出典4)では、新型コロナウイルスと戦うために有益な微生物を調査しています。

    また、発酵食品を多く摂取するアジア諸国の食文化と新型コロナウイルスの死亡率の低さとの関係性について、いくつか論文も発表されています。その中には、韓国での死亡率の低さと、韓国の代表的発酵食品であるキムチの摂取量の影響についての論文もあります。

    今回は新型コロナウイルスと腸内細菌叢、免疫システムに関する研究をご紹介しましたが、この他にも腸内細菌は、がん、パーキンソン病やアルツハイマー病などの神経系の病気、そしてメンタルヘルスにも関与してることがわかっています。

    冒頭にも書きましたが、味噌、漬物、納豆など、日本は素晴らしい発酵食品の宝庫なのですから、ぜひ積極的に毎日の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか?

    発酵食品についてもっと詳しくお知りになりたい方は、2月25日に発売予定の私の新著『最強でエレガントな免疫を作る100のレッスン』でご紹介しています。ぜひご覧になってみてください。

    Lots of Love, Erica

    出典1:Yeoh YK, Zuo T, Lui GC, et alGut microbiota composition reflects disease severity and dysfunctional immune responses in patients with COVID-19 Gut Published Online First: 11 January 2021. doi: 10.1136/gutjnl-2020-323020

    出典2 :Dhar D, Mohanty A. Gut microbiota and Covid-19- possible link and implications. Virus Res. 2020 Aug;285:198018. doi: 10.1016/j.virusres.2020.198018. Epub 2020 May 13. PMID: 32430279; PMCID: PMC7217790.

    出典3 :Bousquet J, et al. Association between consumption of fermented vegetables and COVID-19 mortality at a country level in Europe. medRxiv 2020.
    doi:https://doi.org/10.1101/2020.07.06.20147025

    出典4:Antunes, A., Vinderola, G., Xavier-Santos, D., & Sivieri, K. (2020). Potential contribution of beneficial microbes to face the COVID-19 pandemic. Food research international (Ottawa, Ont.), 136, 109577. https://doi.org/10.1016/j.foodres.2020.109577

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