私が初来日した1985年頃と比べ、日本の食生活は欧米化が進み、便利な加工食品も増え、劇的に変化しました。この食生活の変化と共に、がん罹患率も増加していることはご存知でしょうか?今年2月にフランスで行われた最新の研究(出典1)によって、高度加工食品とがんの関連性が明らかにされたのです。
まず、高度加工食品とはどのようなものを指すのでしょう?
この研究では、
―大量生産の袋づめされたパン類(菓子パン、食パン等)
―甘い、またはしょっぱい袋詰めスナック類(ポテトチップスもこれに含まれる)
―チョコレートバー等のお菓子類
―炭酸飲料水や甘いドリンク類
―ミートボール、チキンやフィッシュのナゲット類
ーソーセージ、ハム類
―インスタント麺とスープ類
―冷凍の加工食品や日持ちの良い調理済み食品類
―トランス脂肪酸等の油や脂質、砂糖を多く含む食品類
以上の食品を高度加工食品と定義しています。
また、これらには大量の砂糖、油、塩、及び添加物、保存料、着香料や着色料も使用されています。
調査は2009年から2017年の間、約10万5千人の被験者(平均年齢43歳、男性22%・女性78%)を対象に行われました。開始時点では、被験者の中にがん患者はいませんでした。
結果、食事の高度加工食品の割合が10%増加するごとに、全てのがん及び乳がんの発症リスクが10%以上高まったことが判明したのです。
高度加工食品の摂取量が多い人ほど、がんリスクが高いという調査結果に対し、研究者たちは「一貫していて、大変整合性が高いものである。」とのコメントを発表しています。
これまでの研究では、高度加工食品と肥満の関連性は確認されていましたが、がんとの関連性に言及したのは、今回の研究が初となります。
フランスは高度加工食品の大量消費に対して、その危険性を国民に警告をしている数少ない先進国として知られています。そしてフランスと同様、国民食生活指針を掲げ、最小限の高度加工食品の消費を推奨している国の一つがブラジルです。実は高度加工食品(または超加工食品)と呼ばれるものは、ブラジルの研究者によって定義されたものです。
その食品分類システムのNovaによると、食品は大きく4つのカテゴリーに分類されます。
1、 種子、果物、卵、牛乳などの未処理または最小限加工食品、
2、 油及びバターのような加工された調理用食品
3、 瓶詰め野菜及び缶詰魚、チーズなどの加工食品
4、 食品・添加物由来の物質から大部分または全てが作られた高度加工食品
となります。
これまでも高度加工食品については、いろいろ調査が行われていますが、ほどんどの場合、抗酸化物質、食物繊維、ビタミン、そしてミネラル等の大切な栄養素が取り除かれてしまい、大量の砂糖が加えられているのです。大量の砂糖の摂取は健康に大きな影響を及ぼすことも明らかにされているので、注意が必要なのです。
また、高度加工食品の製造過程、保管中に形成される化合物ががんを引き起こす可能性があることを示唆されています。
例えば、アクリルアミドのような汚染物質は、フライドポテト、ビスケット、またはパン等の熱処理加工中に生成されるのです。国際がん研究機関(IARC)及び米国国家毒性プログラム(NTP)によって、アクリルアミドは発ガン物質としてみなされています。
そして加工肉製品の多くは、胃がんに関連すると言われている添加物、亜硝酸塩等の防腐剤が使用されています。多様な添加物が使用されたものが一緒に消費される、添加物の“カクテル”が、さらなる問題を引き起こすとされています。
食生活の欧米化が急激に進んでいる日本も、早晩対岸の家事で済まされない問題となるのは明らかです。日本でも、なるべく早くフランスやブラジルのような取り組みが始まることを願います。
高度加工食品は確かに安価で、忙しい私たちにはとても便利なものです。ですが、それに頼りすぎてしまうことで、将来のあなたの健康・美容、生きる活力の為にその何倍ものコストを払うことになりうるということを、どうぞ覚えておいてください。
Lots of Love, Erica
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砂糖、甘味料に関するの過去のポストはこちら:
-その一杯のドリンクのチョイスでリスク軽減!?砂糖の過剰摂取と乳がんの関係https://goo.gl/1WsfcS
-その「ヘルシーフード」は本当に大丈夫?見健康的な食品に潜む砂糖の落とし穴!https://goo.gl/wsQQV9
-人工甘味料に潜む恐怖!?“ゼロカロリー”や“ヘルシー”の落とし穴 https://goo.gl/W6yJHH
アクリルアミドに関する過去のポストはこちら:
– https://goo.gl/pXMuQd 揚げ物やトーストは茶色ではなくゴールド色で!茶色い焦げと神経学的疾患やガンの発症リスクの関係性
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出典1:Fiolet, T., Srour, B., Sellem, L., Kesse-Guyot, E., Benjamin Allès, B., et al. Consumption of ultra-processed foods and cancer risk: results from NutriNet-Santé prospective cohort. (Febraury 2018). British Medical Journal. BMJ 2018;360:k322 | doi: 10.1136/bmj.k322
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