ストレスが私たちにとって悪影響であるということは、みなさん既によくご存じのことと思います。しかし、現代の生活スタイルでは、ストレスから逃れることは不可能です。毎日の慢性的なストレスは、私たちの気分、睡眠、腸内細菌叢、そして老化など、様々な健康状態に関連しています。
さらに、ストレスは特に女性の将来のアルツハイマー病罹患リスクにも影響があると言われています。女性は男性に比べ、アルツハイマー病罹患リスクが2倍になることが分かっており、ストレスがそのリスクの一因であると考えられています。
アルツハイマー発症に関与しているタンパク質の1種であるアミロイドβが、ストレスの影響を受けた際に女性の脳内では急激に上昇するのに、男性ではそのような反応は見られなかったことが、研究(出典1)で判明しました。血中のストレスホルモンレベルを計測すると、ストレスの感じ方は男女間の差はありませんでしたが、脳の反応が異なりました。女性被験者のアミロイドβ値は最初の2時間で跳ね上がり、その数値は計測中終始高い数値を示していました。男性被験者のアミロイドβ値には、特出した大きな変化は見られませんでした。
さらなる研究によって、この男女間性差による反応の違いは、脳細胞の細胞ストレスの応答経路によるものであることが判明しました。ストレスは、コルチコトロピン(副腎皮質刺激ホルモン)放出因子と呼ばれるホルモンの分泌によって引き起こされます。女性の神経細胞は、ストレスホルモンを取り込み、脳内のアミロイドβホルモン値を上昇させるとされています。反対に、男性の神経細胞は、ストレスホルモンを取り込む能力を持たないとされています。
この研究(出典2)はマウス実験ですので、今後さらに多くの研究を進める必要がありますが、特に加齢とともに、女性の自律神経系のバランスは崩れやすくなり、リラックスした状態の副交感神経よりも、”闘争・逃走反応”状態の交感神経が優位になることが明らかになっています。
交感神経優位の状態が頻繁になりすぎると、体内炎症値が高まります。過度な炎症は、皮膚を含め老化を加速させます。ストレスを全て取り除くことは不可能ですし、ストレスが全て悪いわけではなく、時に有益なものもあります。重要なのは、いかに上手くストレスマネジメントするかなのです。
アルツハイマーも認知症も、一夜にして発症する病気ではありません。その脳の変化は、症状が出る35年も前から現れることが知られています。日々の食事、睡眠、運動がとにかく重要なのは大前提ですが、1日15分でも良いので、緊張状態のスイッチを切って、活力を充電できる休息時間を定期的に持つことをおすすめします。
ゆっくりとお風呂に入るというようなシンプルなもので十分ですが、ポイントはその休息時間中はスマートフォンをいじらないこと。私のお気に入りは、ホットアイマスクをつけて休息することです。物理的に目を覆ってしまえば、スマートフォンをいじることができなくなるからです。リラックスできる音楽を聴いたり、自分の呼吸に集中して深呼吸やストレッチ、ヨガ、瞑想をしたり、好きな本を読んだり、お散歩したりすることも、ストレス発散に効果があります。
呼吸法についてご紹介している以前ポストはこちら:
簡単な呼吸法がアルツハイマーや認知症予防に! https://x.gd/K8Ttv
忙しいとつい自分の休息よりも他のことを優先してしまったり、ちょっとした時間があればすぐにスマホでSNSをチェックしてしまったりするもの。ですが優先的に定期的な休息をスケジュールに書き込むことをおすすめします。ご自身の美容と脳の健康、そしてホルモンバランスに対する素晴らしい投資となるのですから。
Lots of love, Erica
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