Contact

取材・講演のお問い合わせは、上のフォームからご連絡ください。

メールでのお問い合わせは、[email protected] までお送りください。

大変申し訳ございませんが、健康問題などにつきましての個人さまからのお問い合わせやご相談にはお答えすることができませんのでご了承ください。

* すべての項目にご記入をお願いいたします

Appleやfacebookの成功は「散歩会議」から!? ウォーキングがもたらす驚きのひらめき効果

Appleやfacebookの成功は「散歩会議」から!? ウォーキングがもたらす驚きのひらめき効果

みなさんは、外を歩いているときに突然良いアイデアがひらめいたという経験はありませんか?これは偶然に起きたわけではなく、散歩には私たちの創造力を活性化させる効果があるからなのです。アップルの共同設立者の一人である故スティーブ・ジョブズ氏は、好んで「散歩会議」を取り入れていたそうです。世界中の人々に影響を与えた彼の独創的で素晴らしいアイデアも、この散歩から生まれていたのかもしれません。フェイスブックの創設者であるマーク・ザッカーバーグ氏も「散歩会議」を採用しているそうです。また、過去何百年の間に活躍してきた多くの作家や芸術家たちも「最高のアイデアは散歩中に生まれた」と語っています。

スタンフォード大学で昨年発表された研究(出典1)により、散歩は人間の創造力を高める効果があるということが明らかになりました。学内の生徒を対象に行われたこの研究では、創造力は座っているときよりも歩いているときの方が60%も高くなるという結果が出ました。また、勉強や仕事の休憩中に散歩をすると、新しい視点から課題や問題を見直すことができるようになったという結果も出ています。散歩後にデスクに戻ってからでも同様の効果がみられているのですが、これはエクササイズの一つでもあるウォーキングが気分を向上させ、新しいアイデアを生み出しやすくするからなのです。

一方、この研究で興味深かったのは、数学などの集中的思考を必要とする問題には散歩は逆効果だったということです。その理由は、一つの答えを必要とする問題に対して、色んなアイデアが浮かび上がってしまう思考活動は求められていないからです。実はこの研究課題も、アイデア探しのために普段から生徒との散歩を習慣にしていた研究長が、まさに散歩中に思いついたそうです。

それでは、なぜ散歩が私たちの創造力にそれほど影響するのでしょうか?この因果関係を紐解いていくと、まずは、身体機能に変化が起こります。歩くことで心臓のポンプ機能が高まり、筋肉や脳を含む全ての臓器に血液と酸素が行き渡り循環が良くなります。軽い運動であっても、記憶力や注意力を高めてくれるということが多くの研究(出典2)からも判っています。また、定期的な散歩は脳細胞の働きを活発にするため、加齢による脳組織の老化や萎縮防止にも効果的なのです。(出典3、4)さらに散歩には、記憶を司る海馬の増大や新しい神経細胞の増殖、情報伝達の分子の活発化に効果があります。(出典5)

また、身体の動かし方により私たちの思考は変わり、またその思考の変化により身体の動かし方が変わります。自分のペースで歩くことで身体と心の対話が繰り返され、やがて両者のリズムが調和していきます。このような「フィードバック・ループ」は、ジムでのジョギング、車や自転車の運転時には経験できないことです。なぜなら、散歩は心の状態に任せて簡単に速度を早めたり遅くしたりすることができ、そこから意識的に思考を変えることが可能だからです。また、歩いているときには意識的な努力を必要としないため、私たちの意識や心は解放された状態になります。この状態が、ひらめきや創造的な思考を生み出しやすくさせるのです。

さらには、どこを歩くかということも重要です。学生を対象に行われた研究(出典6)では、市街地を散歩した学生よりも、自然の中をゆっくり散歩した学生の方が記憶力が伸びたという結果が出ています。庭園や公園、森などの緑が多いところで時間を過ごすと心にやすらぎと安定がもたらされ、市街地などの人工的な環境では心が消耗してしまうというのは多くの研究により明らかです。混雑している交差点では、多くの歩行者や車が行き交い、看板などが私たちの注意を引きます。一方で、例えば、公園の池の周りを歩くと、水や草木に癒され、意識が自然と方向転換出来るようになります。市街地での散歩には瞬間的に刺激をもたらすという恩恵もありますが、あなたが既に過度な刺激を受けているようなら、自然が多い公園などで散歩をするようにしてバランスを取ればいいのです。

散歩の恩恵は、ただ創造力を高めるにとどまらず、それ以上に計り知れない効果があります。別の研究(出典6)では、散歩はランニングと同等レベルで心臓病の罹患率を減少させることが判りました。また、アメリカでおこなわれたNational Runners’ Health Studyという研究で調査した33,060人のランナーとNational Walkers’ Health Studyという研究で調査した15,045 人の散歩愛好家を比較したところ、早歩きはランニングと同様に糖尿病の疾患率減少、高血圧・高コレステロールの低下を促す効果みられたそうです。

もしあなたが仕事や勉強に行き詰り、何か新しいアイデアが必要なときはぜひ散歩に出掛けてみてください。職場の周辺を歩いたり、休憩時間に近くの公園まで散歩するだけでもきっと良い効果があるはずです。または、社内の会議を思い切って「散歩会議」にしては如何でしょうか。

Lots of Love, Erica

(出典1)Oppezzo, M., et al., “Give your ideas some legs: The positive effect of walking on creative thinking,” Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 2014, vol. 40, no. 4, pp: 1142-1152.

(出典2)Nagamatsu, L. S. et al., “Physical activity improves verbal and spatial memory in older adults with probable mild cognitive impairment: a 6-month randomized controlled trial,” Journal Aging Res, 2013, doi: 10.1155/2013/861893

(出典3)Voss, M. W. et al., “Plasticity of brain networks in a randomized intervention trial of exercise training in older adults, Front Aging Neuroscience, 2010, vol. 26, no. 2, doi: 10.3389/fnagi.2010.00032.

(出典4)Erickson, K. I. et al., “Physical activity predicts gray matter volume in late adulthood,” Neurology, 2010, vol 75, no. 16, pp: 1415-1422.

(出典5)Segal, S. K. et al., “Exercise-induced noradrenergic activation enhances memory consolidation in both normal aging and patients with amnestic mild cognitive impairment,” Journal Alzheimer’s Disease, 2012, vol. 32, no. 4, pp: 1011-1018.

(出典6)Berman, M. G., et al., “The Cognitive Benefits of Interacting With Nature,” Psychological Science, December 2008, vol. 19, no. 12, pp: 1207-1212.

(出典7)Williams, P. T. et al., “Walking Versus Running for Hypertension, Cholesterol, and Diabetes Mellitus Risk Reduction,” Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vascular Biology, 2013, doi: 10.1161/ATVBAHA.112.300878

Comments are closed.