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時代は令和でも食卓は昭和がいい理由

時代は令和でも食卓は昭和がいい理由

立秋を過ぎましたが、まだまだ厳しい暑さが続いていますね。みなさんお元気でお過ごしでしょうか?美味しい旬の食材で栄養をつけて、残暑乗り切りましょう!

突然ですが、みなさんにクイズです。
「日本人の健康状態が最も優れていたのは次の4つの年代のうちのいつでしょうか?1960年、1975年、1990年、それとも2005年?」
答えは、、、1975年です!最近の2005年ではなく40年以上前の1975年の方が健康状態が優れていたとは、興味深いですね。

これは、東北大学によって行われた研究(出典1)によって判りました。上記の4つの年代の過去半世紀間の日本人の食生活とその変化から、それがどのように日本人の健康や生活に影響を与えたのかを調査したのです。各年代ごとに家庭で食べられていた最も健康的な料理を特定し、全国栄養調査などを参照してそれぞれ1週間分の献立を作り上げました。 
それらをフリーズドライ粉末にし、グループ分けされたおよそ100匹ものマウスに、8ヶ月にわたり与え続けました。摂取する食事の違いによって「生活習慣病の発症」、「老化の促進・外見の変化」「学習記憶能力の推移」などを観察しました。
結果、1975年の食事を与えられていたマウスが一番長生きしました。しかも想定されていた寿命よりも8週間も長く生きたのです。反対に、最も短命だったのは、2005年の食事を与えられたマウスでした。

「老化の促進・外見の変化」に関しても食の影響があることがわかりました。マウスが生後1ヶ月の時点では、1975年/2005年どちらの食事でも外見に特に違いは見当たりませんでした。しかし時の経過とともに、2005年の食事を与えられたマウスは毛量が減り、シワが目立つようになったのです。ですが1975年の食事を与えられたマウスの毛量は減ることはありませんでした。(下記画像をご参照ください)

「学習記憶能力の推移」については、潜在的な危険をどの程度の期間記憶していられるかを測る「危機回避テスト」を用いて調査を行いました。このテストでも1975年の食事を与えられたマウスが最も長く記憶を保持しました。
以上の結果から、1975年の食事が、「若さを保つ為の最適な食事」であるということが証明されたのです。

では、「1975年の食事」とはどのようなものだったのでしょうか?
「1975年の食事」はその他の年代と違う、いくつか明白なポイントがあります。
1つ目はバラエティに富んだ料理と食材の使用。
当時はほぼ毎食「一汁三菜」が基本でした。時代背景的にだんだんと欧米の食文化も広まってきていた頃ではありますが、しかしご飯と味噌汁、そして多様な食材やカラフルな野菜を使用した副菜がセットとして食卓に並んでいたのです。多様な食材や野菜を食することで、抗酸化作用やフィトケミカル、多くの栄養を摂ることができたのですね。
2つ目は当時の調理方法。
1975年当時の主な調理方法は”煮る”、”蒸す”、”生食”の3つで、”焼く”はその次。”揚げる”、”炒める”はまだそれほど主流の調理方法ではありませんでした。
3つ目は食材。
大豆製品が多く、海藻、芋類、緑黄色野菜、その他漬物を含む野菜、果物、キノコ類、納豆等発酵食品、緑茶などでした。乳製品や肉類も市場に出回ってはいましたが、現在に比べると消費量はとても少なかったようです。
4つ目は調味料。
だしと醤油、みそ、酢、みりん、酒といった発酵調味料を上手に利用して、塩と砂糖を大量に使用せずとも、上手に味付けをしていました。
実験で設定した1975年の食事の1週間メニューは上記4つのポイントが全て組み込まれており、それらは科学的に当時の日本人の健康にプラスの要因であったことが検証されています。(1975年のメニュー例は下記画像をご参照ください)
そしてもう1つ、家庭で自炊が主流であったことも挙げられます。当時は未だ現在のようにコンビニエンスストアが点在していなかったのも1990年や2005年との大きな違いでしょう。(日本にコンビニエンスストアが登場したのは1974年ですが、その後増え続け、現在は日本全国に約57,000店舗も及ぶそうです。)

では1960年、1990年、2005年の食事はどのようなものだったのでしょうか?
1960年はまだ戦後復興期直後でした。経済成長安定期となる1975年になると、日本人の食生活やライフスタイルにも欧米化の波が押し寄せました。それまでの時代に比べ、食肉や乳製品の消費が増えたため、多種の食材からのたんぱく質の摂取量が増加しました。バブル経済期の1990年には、グルメブームに乗って、多くの輸入食品が市場に出回り始めました。それまで主であったご飯とお味噌汁よりも、パン食を選ぶ家庭が増え始めたのもこの頃です。
そして2005年になると、コメの消費量はさらに減少。現在では、日本人の主なたんぱく質源は魚ではなく肉になっています。4つの年代を比較し、「生活習慣病の発症」、「老化の促進・外見の変化」「学習記憶能力の低下」の予防において最も優れている食事は、1975年の食生活という結果となりました。

次に、研究者はマウスではなく、実際に人間を対象に調査を実施しました。
1975年の食事を摂ってもらい観察をしたところ、体重・腹囲・BMI・そして腸内フローラ等を含め被験者の健康に驚くべき良い変化をもたらしたのです。(この結果については、また別の機会にFBでご紹介したいと思います!)

この実験では2005年の食事を取り上げていますが、それから14年の月日が経っています。日本人の食生活はこの14年でさらに欧米化が進んでいます。食生活の欧米化の増加と比例するように、メタボリックシンドローム、糖尿病、一部のがん等の生活習慣病の罹患率が増加しているという現状は、看過できない問題ではないでしょうか。
長寿大国として知られている日本ですが、近いうちにその座は他の国に追い抜かれるのではないかと言われています。
現代の日本人の食生活は、若い世代の健康と寿命に打撃を与えることになります。(もちろん健康的な生活のためには、食生活に加えて、ストレスや睡眠不足などの生活環境も重要です。)

食生活が大切なのは、「今」のあなただけの為ではなく、「将来」のあなたの為でもあるのです。どのように年齢を重ねていきたいか、生活習慣病とどう付き合って行くべきなのか、考えていただきたいと思います。
献立を考え、食材を選び、調理をするのは、毎日を忙しく時間に追われているあなたにとって大変手間がかかることかもしれません。ですが、その時間はあなたとあなたのご家族の将来の健康と美への「投資」なのです。そう思えば、貴重な時間をかける価値は十二分にあるのではないでしょうか?

Lots of Love, Erica

出典1: Yamamoto, K., E, S., Hatakeyama, Y., Sakamoto, Y., Honma, T., Jibu, Y., Kawakami, Y., & Tsuduki, T. (2016). The Japanese diet from 1975 delays senescence and prolongs life span in SAMP8 mice. Nutrition, 32(1), 122-128.

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