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アレルギー症状が出るとすぐに抗生物質に頼っていませんか? 抗生物質の乱用には要注意!

アレルギー症状が出るとすぐに抗生物質に頼っていませんか? 抗生物質の乱用には要注意!

日本の花粉症患者数は年々増加傾向にあり、多くの人がその辛い症状に悩まされています。また日本を含む工業化の進んだ国々における、喘息や湿疹などのアレルギー疾患の発症率が、ここ約20〜30年で劇的に上昇しています。

米国アレルギー喘息免疫学会(AAAAI)からの報告によると、世界中の児童の40~50%が、1つまたはそれ以上のアレルゲン(アレルギーの原因となる抗原物質)に敏感であるとされています。なかでも最も多いのは、湿疹などの皮膚アレルギー(10~17%)、次に喘息・鼻炎などの呼吸アレルギー(~10%)、そしてピーナッツなどに対する食物アレルギー(~8%)だといわれています。日本では約2人に1人が何らかのアレルギー疾患を患っているというデータも出ています。(出典1)

なぜアレルギー疾患発症率が、それほどまでに急速に増加したのでしょうか?

私たちの食生活とライフスタイルの劇的な変化が理由として考えられます。野菜や魚の消費が減る一方で、保存料や添加物を含む精製食品や加工食品、そして遺伝子組み換え食品などを多く食するようになりました。また、ライフスタイルの変化により睡眠時間は短くなり、よりストレスを受けやすい環境になっています。そしてもう一つ顕著な変化として、風邪や咽喉炎などの際、特に子供に処方される抗生物質の使用の増加があげられます。これが近年のアレルギー疾患発症率の上昇に反映しているといわれているのです。

「腸内細菌のバランスを乱す抗生物質」

しかし、有害細菌を殺すために服用する抗生物質であるのに、なぜアレルギー疾患の発症率を高めてしまうのでしょうか?それは、抗生物質が感染症と戦っている間に、腸内の善玉菌までも死滅させてしまうからです。腸内細菌と免疫細胞のバランスは相互に作用しており、腸内細菌は免疫細胞の成熟(様々な病原体と戦う能力を高めること)において重要な役割を果たします。この腸内細菌と免疫細胞間での相互作用が上手く働かないと、免疫系が食物や埃などといった無害な物質に不適切に反応を起こします。これが致命的なアレルギー疾患の発症につながるのです。

特に低年齢時期から腸内細菌に曝露(さらされる)することは、免疫系および免疫細胞の成熟に大切です。そして私たちの健康を保つためにも腸内細菌は不可欠なものなのです。

「抗生物質が、子供達の命までを脅かしかねない喘息等のアレルギー疾患発症リスクを高めている!?」

今年発表された研究(出典2)より、幼少期に抗生物質を投与された子供は、将来アレルギー疾患を発症する可能性が高くなることが判っています。この研究は40万人以上の子供を対象に行われ、3歳になる前に抗生物質を投与された子供は、湿疹は41%そして花粉症は56%、それぞれ発症リスクが高いという結果が出ています。

別の研究では生後4~6ヶ月のうちに抗生物質を投与された子供は、アレルギー疾患発症率が1.3~5倍も高くなることが判っています。(出典3)

そして抗生物質により腸内細菌が減少した乳児は、湿疹の発症リスクも上がります。(出典4)

生後の抗生物質投与だけではなく、母親が妊娠中に服用した抗生物質が子供に影響を与えるということも判明しています。

また、喘息の持病を持つ母親から生まれた乳児を対象にした研究(出典5)によると、妊娠中に抗生物質を服用した母親の子どもは、服用しなかった母親の子どもよりも、喘息を発症する可能性が2倍程高くなるという結果も出ています。

「腸内細菌のバランスが整えば、アレルギー発症は減少する!?」

ヨーロッパで行われた研究(出典6)で、農場で育った子どもたちは、そうではない子供たちに比べ、多様な腸内細菌を持っていること、そして喘息やアレルギー疾患発症率が最大70%も低いことが判りました。これは多種多様な腸内細菌に曝露されることで、免疫システムはバランス良く成熟し、結果不適切な免疫反応を防ぐことができるようになるからなのです。

「抗生物質の服用は病状の原因をしっかり確認してから!」

お子さんが風邪を引いたり喉の痛みを感じたら、まずはその原因が細菌性なのか、ウイルス性なのかを確かめましょう。本当に抗生物質が必要なのかどうかをしっかり確認してから服用するようにしましょう。ウイルス感染の場合、抗生物質を投与しても効果は望めないということを、是非覚えておいてください。

以前の投稿でも触れましたが、抗生物質は喘息や湿疹等アレルギー疾患だけでなく、メタボリックシンドローム・肥満・糖尿病・乳がんにも関連しています。詳しくは過去の投稿をご覧ください。(https://goo.gl/6H4nMo

Lots of Love, Erica

(出典1):Ministry of Health, Labour and Welfare (2016). アレルギー疾患の現状等. http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10905100-Kenkoukyoku-Ganshippeitaisakuka/0000111693.pdf

(出典2):European lung Foundation. (2016). Early life exposure to antibiotics is related to increased risk of allergies later in life. ScienceDaily.

www.sciencedaily.com/releases/2016/09/160906085003.htm

(出典3):Johonson, C. C., Ownby, D. R., Alford, S. H., Havstad, S. L., Williams, L. K., Zoratti, E.,M., . . . Joseph, C. L. M. (2005). Antibiotic exposure in early infancy and risk for childhood atopy. The Journal of Allergy and Clinical Immunology, 115(6): 1218–1224. http://dx.doi.org/10.1016/j.jaci.2005.04.020

(出典4):Abrahamsson, T. R., Jakobsson, H. E., Andersson, A. F., Bjorksten, B., Engstrand, L., & Jenmalm, M. C. (2012). Low diversity of the gut microbiota in infants with atopic eczema. The Journal of Allergy and Clinical Immunology. 129(2): 434–440. http://dx.doi.org/10.1016/j.jaci.2011.10.025

(出典5):Faculty of Health and Medical Science, University of Copenhagen. (2014). Copenhagen Prospective Studies on Asthma in Childhood. http://www.copsac.com/

(出典6):Ege, M. J., Mayer, M., Normand, A. C., Genuneit, J., Cookson, W. O. C. M., Braun-Fahrlander, C., . . . Mutius, E. V. (2011). Exposure to environmental microorganisms and childhood asthma. New England Journal Of Medicine, 364(8):701-9. http://dx.doi.org/10.1056/NEJMoa1007302

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