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「牛乳を飲めば骨が丈夫になる」は迷信!?

「牛乳を飲めば骨が丈夫になる」は迷信!?

「牛乳を飲めば骨が丈夫になる。」

この考えは、私たちの生活に常識として深く浸透しています。みなさんの中にも健康維持の他、カルシウム摂取のため、身長を伸ばすため、あるいは美容のために毎日積極的に牛乳を飲んでいる方も多いのではないでしょうか。そんな牛乳好きな方には非常に残念なお知らせなのですが、実はこれは都市伝説レベルの迷信であったということが様々な科学的研究により明らかになっています。

まず、スウェーデンで行われた大規模な研究(出典1)をご紹介します。この研究では、現地の女性約6万人を20年、男性約4万5千人を15年に渡り調査したところ、牛乳をたくさん飲む人ほど寿命が短く、骨折頻度が高いという驚くべき結果が出ました。実際に、1日コップ3杯の牛乳を摂取した女性は、まったく摂取しなかった女性よりも骨折頻度が高く、1日コップ1杯未満しか摂取していない女性と比べても、股関節の骨折頻度は60%も高く、骨折全般でも16%高いという結果が出ました。さらに、牛乳摂取量の多い男女は、そうでない男女に比べて死亡率も高く、特に女性に関しては心臓病が原因による死亡率が15%も高かったことが判ったのです。

一体、牛乳は何をもって死亡率や骨折率を高めてしまうのでしょうか?この研究は、牛乳そのものに体内の炎症作用を引き起こす何かしらの弊害があると示唆し、牛乳を飲む人はそうでない人より多くの酸化ストレスと炎症の生態指標を持っていることを明らかにしました。この現象に大きく関わっているのが、牛乳に含まれる糖分のラクトースとD−ガラクトースです。特に、D−ガラクトースは牛乳の中に多く含まれ、研究者たちはこのガラクトースが骨の弾力性を奪い、その結果骨をもろくすると考えています。このような耐性の低い骨は、骨粗しょう症などの健康障害に直結することは明白です。

また、研究者たちは、D-ガラクトースという成分は、動物実験において意図的に老化現象を誘発したいときに少量を投与する糖分だとも指摘しながら、寿命の短縮や酸化ストレス、慢性炎症や神経変性、免疫力の低下や悪性の遺伝子発現などと関連づけています。要するに、ここで挙げたような現象を引き起こしたいときに、研究者達はガラクトースを投与するわけです。ちなみに、その際に投与する量というのは、私たちがコップ1~2杯の牛乳を飲んだ時に摂取している量に相当するそうです。

一方で、ヨーグルトやチーズなどの発酵乳製品は死亡率と骨折頻度に関係しないということも明らかになっています。その理由の一つとして、発酵乳製品には高濃度のD-ガラクトースが牛乳のように多く含まれていないことが挙げられます。プレーンヨーグルトやチーズのような発酵乳製品は適量であれば、安心して楽しめるということです。

牛乳の話に戻りますが、別の研究(出典2)では、牛乳の摂取が骨折頻度を50%も高めるということが明らかになっています。ハーバード大学のラディック博士(出典3)も、牛乳を摂取する習慣がない国は、そうである国に比べて骨折頻度が低いと指摘しています。逆に、約20万人の女性を対象に行われたメタ分析(出典4)からは、牛乳摂取が骨を強くし骨折頻度を下げるという結論はついに導き出されませんでした。

「牛乳は美肌を作る」も、実は信憑性がありません。2つの大きな 対照実験(出典5・6)から、牛乳を飲むとニキビができやすくなり、今あるニキビをさらに悪化させることも判明しています。ですから、今ニキビに悩んでいる人は、牛乳を控えることをお勧めします。

また、ある研究(出典7)では、牛乳から作った赤ちゃん用の粉ミルクに含まれるβラクトグロブリンというタンパク質が、成人後に1型糖尿病を発病させるリスクを高めることが判りました。このタンパク質は異常な免疫反応を引き起こすため、それが原因で糖尿病が誘発されるのです。ちなみに、このタンパク質は人間の母乳には含まれていません。また別の研究(出典8)では、乳製品が男性の前立腺ガンの発症リスクを30~50%も高め、さらには卵巣ガンにも関連があることが明らかになっています。

さらに興味深いのは、世界の約65~75%の人たちが幼少期以降、牛乳をきちんと消化できないという研究結果(出典9)です。この人たちは、牛乳や乳製品に含まれるラクトースを消化できないため、ラクトース不耐症であると言えるのですが、日本では実に成人人口の80~90%がラクトース不耐症だと言われています。ラクトースはラクターゼと呼ばれる酵素により消化されますが、私たちは乳離れとともにこの酵素を自然と生成しなくなるため、乳を消化することができなくなるのです。実際に、地球上の生物の中で乳離れ以降、乳を飲んでいるのは、私たち人間だけです。まれに、成人になってもラクトースを消化できる人もいますが、それはあくまでも少数派であり、残念ながらほとんどのアジア人はラクトースを消化する酵素を持っていないというのが現実です。

もし、あなたが子牛ならば、牛乳は何よりもすばらしい飲み物です。しかし、人間である私たちには、牛乳よりも人体に適したより良い代用品がたくさんあります。例えば、アーモンドミルクや豆乳、ココナッツミルクやライスミルクなどがそうです。これらの中にはD-ガラクトースは全く含まれず、逆にカルシウムをしっかりと摂取できるのです。

今まで耳にしていた牛乳の常識は実は迷信であり、骨や寿命、そして美や健康にさほど良い影響を与えないということをぜひ知って下さい。来週は、骨を強くしてくれる食べ物についてご紹介します。

Lots of Love, Erica

(出典1)Michaëlsson, K, et al, “Milk intake and risk of mortality and fractures in women and men: cohort studies,” British Medical Journal, October 2014, doi: 10.1136/bmj.g6015.

(出典2)Feskanich, D, et al., “Milk, dietary calcium, and bone fractures in women: a 12-year prospective study,” American Journal of Public Health, 1997, vol. 87, pp: 992–97.

(出典3)Ludwig, D., et al., “Three Daily Servings of Reduced-Fat Milk, An Evidence-Based Recommendation? JAMA Pediatr, 2013, vol. 167. No. 9, pp: 788-789.

(出典4)Bischoff-Ferrari, H. A., et al., “Milk intake and risk of hip fracture in men and women: a meta-analysis of prospective cohort studies,” J Bone Miner Res, 2011, vol 26, no. 4, pp: 833-839. doi: 10.1002/jbmr.279.

(出典5)F. William Danby, MD, “Nutrition and acne”, Clinics in Dermatology, 2010, vol 28, pp: 598–604.

(出典6)White GM, “Recent findings in the epidemiologic evidence, classification, and subtypes of acne vulgaris,” J Am Acad Dermatol, 1998, vol. 39, pp: 34-7.

(出典7)American Chemical Society. “New Insights On Link Between Early Consumption Of Cows’ Milk And Type-1 Diabetes.” ScienceDaily. ScienceDaily, 7 May 2008. <www.sciencedaily.com/releases/2008/05/080505093047.htm>

(出典8)Tseng, M., et al., “Dairy, calcium, and vitamin D intakes and prostate cancer risk in the National Health and Nutrition Examination Epidemiologic Follow-up Study cohort,” American Journal Clinical Nutrition, 2005, vol 81, no. 5, pp: 1147-1154.

(出典9) National Institutes of Health, National Institutes of health consensus development conference statement, NIH Consensus Development Conference: Lactose Intolerance and HealthFebruary 22–24, 2010.

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